埃やダニ・花粉に反応する犬のアトピー性皮膚炎

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身体をひどく痒がり、しきりに身体を掻く

身体をひどく痒がり、しきりに身体を掻くアトピー性皮膚炎

犬によっては、埃やダニ、花粉を空気と一緒に口や鼻から入ってくると、アレルギーになって、皮膚をしきりに舐めたり掻いたりすることがあります。

 

このアレルギーを起こす(アレルゲン)を吸い込んだり、皮膚から吸収することで起こる病気をアトピー性皮膚炎といいます。

 

アトピー性皮膚炎の症状

犬の耳や目の周りなどの顔面や足先、脇、関節の内側、四肢の付け根の内側などに、ひどい痒みがあり、犬はその患部をしきりに舐めたり掻いたりします。

 

そのため、皮膚が傷ついたり、ただれたりします。
その症状が長く続くと、患部の皮膚が厚くなって乾燥することもあります。
アトピーは、慢性化することもあり、一度治っても多くの場合は再発します。

 

その原因

そもそもアレルギーは、身体に害のあるものを取り除くために、身体の免疫の働きが、
特に害のないものに対しても過剰に働くために起こります。

 

アトピーは、埃やダニ、花粉などがアレルゲンとなっている例が多いのです。
犬がアレルゲンを吸い込むと、体内で免疫グロブリンがつくられ、これが皮膚と反応して、炎症をおこす物質が大量につくられます。

 

その物質によって、皮膚が痒くなったり、炎症を起こしたり、血管がひろがったり、
むくみが出てしまうことになります。

 

アトピーは、1〜3歳までに最初に発症する割合が75%で、遺伝的にアトピーになりやすい犬もいます

 

アトピー性皮膚炎の治療

アトピーの主な症状は皮膚を痒がるですが、痒みを発症するからといって、アトピーとは限りません。ダニや細菌感染、かぶれ、皮膚の乾燥などでも痒みがでますし、肝臓や腎臓の病気によっても痒くなるので、それらと見分ける必要があります。

 

また、アレルギーが起きやすくなる要因や病気にかかっていることもあり、
それらの要因を取り除くと、症状が急に軽くなることもあります。

たとえば、膿皮症やマラセチア症、疥癬、ノミの寄生などしていると、
アトピーになりやすかったりするので、それらの病気が発症していないかを確認します。

 

特にアトピーになっている犬は膿皮症を発症しやすいので、膿皮症の治療として抗生物質を投与するだけで、痒みが和らぐ場合があります。
ゴールデンレトリバー、ラブラドルレトリバー、シェットランド・シープドック(シェルティ)などでは、よくアトピーに関連する膿皮症にかかりやすいのです。

 

診断

人間でもアレルギー診断やアレルゲンの判定は、皮内反応試験や血清学的な検査など行われますが、犬も同様です。しかし、試験薬の入手が難しい、判定が複雑、検査機関が足りないなど、犬の場合は簡単に検査できません。

 

治療

アトピーの治療は薬物療法が中心となります。
また、身体を洗ってアレルゲンを洗い落とし、保湿剤を使って皮膚が乾燥しないようにすること同時に、犬を屋内で飼っている場合には、ノミやダニ、埃などのアトピーの原因となるものを減らすために、できるだけ頻繁に掃除を行います。

 

薬物療法

薬物療法では副腎皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤などが炎症や痒みを止めるために使われています。
副腎皮質ホルモンではプレドニンやプレドニゾロンが使われますが、これには副作用があるので、使用法には注意が必要です。
抗ヒスタミン剤は痒みを止める効果はあまりないのですが、長期間投与するか、他の薬剤と併用すると、効き目が現れます。

 

また、リノール酸やリノレン酸、エイコサペンタエン酸などの脂肪酸を使うこともあります。これらの物質は、痒みや炎症を引き起こすアラキドン酸や炎症性の代謝産物がつくられないようにするものです。

 

この脂肪酸と抗ヒスタミン薬であるクレマスチンやクロラムフェニラミンを一緒に使うと、痒みが和らぐ場合があり、最近では漢方薬と他の薬剤を併用する方法もあります。

 

シャンプーも効果的

埃や花粉などのアレルゲンを洗い流すために、犬の身体を洗いましょう。
この時のシャンプーには気を付け、獣医師の診断を受け、適切なものを使います。

 

膿皮症の場合には、クロロヘキシジンのシャンプー、脂漏症の場合にはセレン系のシャンプーがよく使われ、アトピーでは皮膚が乾燥しがちなので、プロピレングリコールやグリセリンの希少液を保湿剤やリンス剤として使います。

 

ただ、あまりシャンプーの回数が多いと、皮膚が乾燥してアトピーが悪化することもあります。

 

アトピーの治療は、痒みが止まることを期待しがちですが、ある程度、痒みが止まれば治療効果が出ていると考えて、副作用の強い副腎皮質ホルモン薬を使っている場合には、別の治療法に変えたほうが良いでしょう。


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