伝染力が強く死亡率が高いジステンパー

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1年1回の追加接種が確実な予防法

有効な治療薬がないジステンパー

ジステンパーウィルスに感染すると、4〜6日後に発熱、食欲不振などの症状が現れます。

 

しかし、最初、程度が軽く、2〜3日すると治ってしまうため、あまり飼い主は気にせず見過ごしてしまいます。

 

免疫力の強く若い成犬では、そのまま治ってしまうこともありますが、免疫力が弱くウィルスを撃退できないと、様々な細菌の二次感染が起きてくるのです。

 

それによって、症状が悪化し、二次感染の影響も伴って、様々な症状が現れてきます。
この二次感染のときにジステンパーが発見されるのです。

 

ジステンパーの症状

ジステンパーの症状として、一般的に、発熱、食欲不振、痩せてくる、結膜炎や角膜炎になって膿性の目やにが出るがあります。

 

その他には、嘔吐、お腹を押すと痛がる、悪臭を伴う下痢や血便が出る、膿のような鼻汁、咳、くしゃみが出る、呼吸困難になる、鼻の頭が乾いてカサカサになる、などの消化器系と呼吸器系の異常が現れます。

 

さらに進行すると

ウィルスが脳にまで広がっていき、ジステンパー特有の神経症状が現れます。
やたらに興奮したり、てんかんのような発作を起こしたり、グルグル回転したり、暴走したり、体のあちこちがピクピクと痙攣するチック症状、動作の異常、下半身の麻痺なども見られることがあります。

 

神経症状はジステンパーにかかった犬の20〜30パーセントに現れます。

 

原因

ジステンパーは、イヌジステンバーウィルスに感染して発病します。
このウィルスは、犬の鼻や口から侵入したり、ジステンパーに感染した犬のくしゃみの飛沫などを浴びたり、鼻水や目ヤニ、尿などに、鼻や口が触れて、感染します。またウィルスが付着した食物などを介して感染することもあります。

 

口や鼻から入ったウィルスは、身体の組織の中に入って全身に広がり、様々な臓器を侵していきます。放置すれば脳までいき障害を起こします。

 

ジステンパーの治療と予防

犬の症状や血液検査の結果を見ながら総合的に診断しますが、特徴的な症状に乏しいので、確定的な診断はウィルス検査によって行います。

 

ウィルス検査は、結膜、瞬膜、扁桃の粘膜をとり、顕微鏡で粘膜上皮細胞あるいは神経細胞の中で、ウィルスが細胞内で増殖したものを見つけます。

 

その他の検査法は、必要に応じて蛍光抗体法により、ウィルス抗原を検出する、血清中の中和抗体を見つけ出す、あるいは保体結合反応によって、ウィルス抗体の存在を見つけます。

 

ジステンパーに治療法はない

ジステンパーウィルスに対して有効な治療薬は今のところありません
ジステンパーと診断されたら、入院して対症療法を受けることが必要です。

 

ウィルスに感染して初期の段階では、免疫血清の大量投与が効果を現すこともあります。また二次感染菌を抑えるため、抗生物質、副腎皮質ホルモン薬、サルファ剤、ビタミン剤などの薬を使います。

 

ジステンパーの症状に対しては、利尿剤、整腸剤。
神経症状がある場合には、抗てんかん薬や脳代謝賦活剤などを使います。
犬を安静にして保湿に心がけ、体力を消耗しないように注意することが必要です。

 

ジステンパーにならないようにするには

ジステンパーの予防にはワクチン接種を受けておくことです。
現在では、ジステンパー単独接種ではなく、他の感染症と同時にされます。
よく、3種混合、5種混合、7種混合などのワクチンが接種されます。

 

母乳を飲む幼犬は、母犬から抗体を母乳から受け継ぎます。
この移行抗体は生後2〜3ヶ月間は子犬に体内に残るので、
消滅する生後3ヶ月前後にワクチン接種を行うのが適しています。

 

初乳を飲んでいるかいないかわからない仔犬の場合には、
生後2週目から2週間ごとに14週後まで接種するのが理想です。

 

その後は、1年1回の追加接種が確実な予防法となります。
ジステンパーは死亡率が高い病気ですが、現在ではワクチンがあるため予防できるのです。


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