激しい嘔吐と下痢がおきる犬のパルボウィルス性腸炎

MENU

パルボウイルスは細胞分裂が激しい腸に住みつく

パルボウイルスは細胞分裂が激しい腸に住みつく

パルボウイルス性腸炎は、離乳期以降の犬が感染し、広く発生します。

 

激しく嘔吐し、嘔吐が始まってから6〜24時間後から、度々下痢をするようになります。下痢は灰色または黄色がかった灰色っぽいのですが、だんだん、ドロドロした粘液状の下痢便になります。

 

症状が重いときには血液が混じり、ひどい悪臭もする場合があります。
嘔吐と下痢のために脱水症状になり身体が衰弱してショック状態になることもあります。

 

嘔吐と下痢が激しいので、飼い主は犬の異変にすぐ気づきます。

 

感染経路

パルボウイルス性腸炎は、イヌパルボウイルスに感染することで発病しますが、
日本において1980年代に大流行したことがあります。
ウィルスの感染経路は、感染した犬に汚染された食器、感染した犬の世話をした人の手指や衣類に、犬が口や鼻をつけると感染します。

 

パルボウイルスは犬の身体の中で細胞分裂が激しい組織に住みつきやすく、その一つが腸なのです。

 

パルボウイルス性腸炎は、生後2〜3ヶ月を過ぎると、どの年齢でも感染する可能性がありますが、母犬から受け継いだ抗体が消える生後10〜12週の間に集中します。

 

治療が遅れると、嘔吐や下痢などが現れてから、1〜2日で90パーセントが死亡します。
成犬でも感染すれば、25パーセントが死亡する病気です。

 

パルボウイルス性腸炎の予防

嘔吐や下痢は、他の感染症や腸の病気でも見られますが、パルボウイルス性腸炎は、
まず嘔吐から始まり、次に下痢に移るという特徴もあり、トマトジュースのような血が混じった下痢便の状態からもわかりますが、血液中の白血球が減少するため、血液検査が必要になります。

 

さらに確定に診断するには、便からウィルスを分離・同定して確認します。
動物病院には、検査が容易にできる抗原検出用キットがあります。
その他、便による特異的HA活性の測定や抗血清によるHI試験が行われます。

 

治療の方法

パルボウイルス性腸炎と確定された場合には、他の犬に感染させないように、隔離して集中治療を行いますが、このウィルスに効果がある薬はありませんが、乳さんリンゲルなどによる輸液や酸素吸入などで、脱水やショック状態からの回復するようにします。

 

その他では、健胃整腸剤を与え、弱った身体が他のウィルスや細菌などに侵されないよう、二次感染予防として抗生物質を投与します。

 

また、食べると更に吐いてしまうので、治療の間は絶食させ、飲み薬もさけます。
このような治療によって3〜4日間生存すると、犬は回復して1週間以内に治ります。

 

予防

パルボウイルス予防には、ワクチン接種をします。
ワクチン接種は、生後6週間目からはじめ、3〜4週間ごとに3回します。
生後2週目から2週間ごとに14週後まで接種するのが理想です。
その後は、1年1回の追加接種が確実な予防法となります。

 

パルボウイルスは丈夫で、身体の外でも1年位生きています。
ウィルスの感染を防ぐために、パルボウイルス性腸炎が発生したら、犬舎、便、嘔吐物や、犬の身の回りのものを完全消毒します。

 

このウィルスは、アルコールやクレゾール、石炭酸、逆性石鹸など、普通の消毒薬では、ほとんど効果がないため、家庭では薬局で市販されている次亜塩素酸ナトリウム溶液を、約30倍に薄めて用いると効果があります。


スポンサーリンク

関連ページ

発症したら致命的な狂犬病
狂犬病は発症すれば死亡率が高い人間にも感染する恐ろしいウィルス感染症です。発病すれば意識障害と中枢神経の興奮と麻痺が特徴です。
死亡率が高いジステンパー
急性で高熱を発するウィルス性感染症で伝染力が高く死亡率が高いジステンパーは、特に未満の幼犬が発病しやすいのですが成犬でも発症する場合があります。
幼犬が重病に陥るコロナウィルス性腸炎
コロナウィルス性腸炎は、成犬ではほとんど無症状ですが、このウィルスに幼犬が感染すると、下痢と嘔吐が激しい症状として現れます。主に犬が集団で飼育するところでまん延します。
仔犬が感染すると危険なイヌ伝染性肝炎
イヌ伝染性肝炎は、イヌ科の動物だけに伝染するウィル性肝炎で、離乳直後から1歳未満の幼犬の犬が感染すると、死亡率が高い病気ですが、ワクチンを接種していれば発生を予防することができます。
強い咳が出るケンネルコフ
ケンネルコフの主な症状は強い咳をすることで、同じくジステンパーでも咳がでますが、ジステンパーとは違う伝染性の気管支炎で、乾燥した頑固な咳が特徴です。