幼犬が重病に陥るコロナウィルス性腸炎

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離乳期以降の犬が感染し広く発生する

離乳期以降の犬が感染し広く発生する

イヌコロナウィルスに感染すると、成犬の多くは無症状で過ぎてしまいますが、幼犬では症状が重くなります

 

ウィルスに感染して症状は突然起こります。
元気がなくなり食欲もなくなり、下痢と嘔吐が
パルボウイルス性腸炎は、離乳期以降の犬が感染し、広く発生します。

 

血液が混じった下痢と脱水状態

通常、オレンジ色の悪臭の強い、お粥上の軟便から、しだいに水のような便となり、しばしば血液が混じった血のような下痢となることがあり、脱水状態になることもあります。
普通は7〜10日の経過で治りますが、幼犬では下痢症状だけで突然死することもあります。

 

原因

イヌコロナウィルスの感染によって起こり、このウィルスの伝染力は非常に強く、ブリーダーなど集団飼育しているところでは短時間で、ほとんどの犬が感染してしまうこともあります。

 

コロナウィルスは、感染した犬の嘔吐物や便中にあり、これらの汚物を舐めたり、汚染された食器で餌を食べたりすることによって口から感染します。

 

犬の体内に入ったウィルスは、特に小腸の細胞で増殖して、下痢などの消化器障害を起こすのです。

 

イヌコロナウィルスだけの単独感染では比較的軽症で済むのですが、イヌパルボウイルスとの混合感染が多く、その場合には症状も重くなり、死亡率も高くなります。

 

コロナウィルス性腸炎の治療と予防

コロナウィルスに感染した便を電子顕微鏡で見て、イヌコロナウィルスの有無を調べますが、蛍光抗体法によって抗原を見出すことでも診断します。イヌパルボウイルス性腸炎とは違い、白血球が減少することはありません。

 

治療

特別な治療法はありません。
安静と保湿をし、ストレスを与えないように輸液や食事制限といった対症療法をします。

 

激しい下痢により脱水症状になっている犬には、乳酸リンゲル液の輸液を行い、二次感染を防ぐために、抗生物質を投与するほか、嘔吐を抑える薬や下痢を止める薬などが用いられます。

 

予防

予防のためには、混合ワクチンの接種を受けておくことが大切です。
ワクチンは生後2か月から始まって、月に1回、3回行い、その後は年1回行います。
常に、飼育環境を清潔に保ち、健康管理をしましょう。

 

犬の排泄物の扱い

犬の便や尿はウィルスや細菌の感染源の一つです。
犬は散歩中に他の犬の尿を嗅ぎつけると、そこに近づいて鼻をつけたり、舐めたりします。そのときに口の中にウィルスや細菌が入り込むことがあるのです。

 

飼い犬が菌を持っていることもあるので、道端で排泄したら便は必ずビニール袋に入れて持ち帰りましょう。特に下痢をしているときは、ウィルスや細菌の感染症の原因であるかもしれないのです。
また、人間に感染するウィルスがある場合もあるので、下痢を扱うときには手袋などをして直接手に触れないようにしてください。


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