仔犬の感染率・死亡率の高いイヌ伝染性肝炎

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感染から回復してもウィルスは何か月も排泄される

感染から回復してもウィルスは何か月も尿中に排泄される

イヌ伝染性肝炎は、伝染性がとても強くて、感染から回復した犬でも、ウィルスは何か月も尿中に排泄されます。

 

そのため、その尿に鼻をつけたりすると、他の犬も感染してしまうという感染率が高い病気で、感染すると死亡率も高い危険な病気です。

 

しかし、ワクチンを接種していれば感染を予防できます。

 

一定していないイヌ伝染性肝炎の症状

イヌ伝染性肝炎の症状は一定していません。
数時間前まで元気に過ごしていた子犬が急に腹痛を起こしたり、高熱出してぐったりしたり、時には血を吐いたり、血便がでるなどの症状を起こして12〜24時間以内に死亡する可能性もあります。

 

軽症の場合

イヌ伝染性肝炎に感染しても、特別な症状がなく、やや食欲が低下して元気がなく、鼻水を垂らして、熱も39度ぐらいといった幅があります。

 

重症の場合

イヌ伝染性肝炎の重症型では一般に1週間程度の潜伏期間が終わった後、鼻水や涙を流すようになり、40〜41度の熱が1週間程度続きます。その後、下痢や嘔吐、喉の渇き、扁桃腺の腫れ、まぶた・頭・首・身体のむくみが見られます。

 

特に急性の肝炎を起こすので、胸と腹の中間あたりの肝臓のあるあたりを手で押さたり、触られるのを嫌がります。このような状態が1週間程度続いた後、治癒します。

イヌ伝染性肝炎の単独感染では、死亡率は10パーセントくらいですが、他の病原菌との混合感染があると、死亡率は極めて高くなります。

 

また、回復期には、片目または両目に一時的な角膜混濁(青白色の曇り)が見られることもあります。

 

ウィルスが急性肝炎を引き起こす

イヌ伝染性肝炎の感染は、発病した犬や、回復してもなおウィルスが身体に残っている犬の唾液や尿に汚染された食器や、衣類を犬が舐めることによって感染します。

 

口から入ったウィルスは、咽頭部の粘膜からリンパ節に入り、血液で全身の臓器に入り込みます。特に肝臓の細胞に大きな障害が起こり、急性肝炎になります。

 

また、ウィルスは病気の回復期後も約6か月ほど腎臓に存在し尿中に排泄されます。
この病気は年齢を問わず感染しますが、仔犬に感染することが多く、その病状も重いものが多いです。

 

イヌ伝染性肝炎の症状の治療と予防

イヌ伝染性肝炎に感染すると、突然40度以上の高熱が出たり、扁桃が腫れる、お腹を触ると痛がる、吐くという症状が出た場合、血液検査をして白血球が減少しており、肝臓の血清酵素の活性値が上昇していると、イヌ伝染性肝炎と言えます。抗体の上昇などが確認されると確定的です。

 

イヌ伝染性肝炎は、ジステンパー、レプトスピラ症、ワルファリン中毒と似た症状なので、これらと識別する必要があります。

 

治療

このウィルスに有効な薬はありません。
治療と言えるのは、肝臓の再生と機能の回復を促すための対症療法と、食事や安静などに気を配る飼養管理が重要になります。

 

また、肝臓に栄養を供給するため、ぶどう糖、リンゲル液、総合アミノ酸などの輸液を行ったり、各種ビタミン剤や強肝剤で肝臓の働きを回復するために投与します。

 

出血や貧血がある場合には、輸血が必要で、同時に細菌の二次感染を防ぐために抗生物質を投与します。

 

そして、安静を保ち、食欲が出てきたら、おかゆ、卵、スキムミルク、少量の肉や魚などを与え、肝臓に十分な糖、たんぱく、ビタミン類などの栄養を保持させるようにします。

 

予防

イヌ伝染性肝炎は、ワクチンを接種していれば予防できます。
ワクチンは、ジステンパーウィルスやパルボウイルスなどのワクチンとの組み合わせで、混合ワクチンとして接種します。

 

イヌ伝染性肝炎ウィルスは、感染後、約6か月もの間、犬の尿中に排泄され、外界でも10〜13週間生きていますので、汚物の処理は確実に行うことが大切です。クレゾールや有機性ヨウ化物などの消毒液で消毒して衛生的にします。


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